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陽炎 29

やっとここまできた。
親からサインをもらって、牧野も婚姻届にサインして…

遂に結婚。


俺たちは8年もの間会っていなかった、もっと言うとお互いのことを忘れていた。

再開して1ヶ月も経たないうちに結婚。
俺は好きなのは牧野だけで、それは今も昔も未来も絶対変わらないと思う。
牧野は本当に俺と結婚してよかったのか…
できるならしたいけど、俺は牧野を忘れてたひどいことをした前科がある。
そんな俺と結婚してあいつは幸せになれるのか…ふと思ってしまう。

「牧野…」

「なに?」

「お前、俺といて幸せか?」
今まで心の中に秘めていた思いを聞いてみた。

「うーん…わかんないけど、わかんないから幸せなんだよ」
わかんないから幸せ、なんか牧野らしいな。

「俺と結婚してよかったか?」
これでよくないと言われたらもう牧野は忘れよう。
その覚悟で聞いたけど

「うん。もちろん!」
そんな気持ちを忘れされるほどの笑顔の牧野を見たら、俺の方が嬉しくなってきた。

「そっか…愛してる。」
ずっと言いたかったこの言葉。やっと言えた。

「うん。あたしも愛してるよ」
牧野が、俺のことを“愛してる”って…
今の俺は有頂天を超えていた。

「つくし…って呼んでいい?」

「……いいよ、司。」

司…。
こいつが俺のことを司って言った…
やべぇ、ニヤける。
顔がやべぇ…








ーーー1年後

「うっ、はぁ、あっぅっ…」
つくし、すげえな。

「つくしっ…!」
今の俺には名前で呼んで励ますことしか出来ない。

「………ぅっづか……ざっ……!」
そんな中でも俺の名前を呼んでいる。

「つくし、愛してる。がんばれ。」

「……んっぅ、はぁ、あっっ!」
つくしの声が変わった。
どうしたか、なんかあったのか?
そう思ったあとすぐ、肌色のものが見えた。


「おぎゃゃゃゃぁぁ!おぎゃゃゃゃぁぁ!」
生まれた?
赤ちゃんが、俺とつくしのの赤ちゃんが生まれた。

「はぁ、はぁ、う、生まれたぁっ…司、生まれた…よっ!」
汗をかいて、疲れているのにも関わらず笑顔で、赤ちゃんを抱っこした。

「つくし…よく頑張ったな。」
頭をポンと叩き、つくしの隣に座って赤ちゃんを見た。

「はぁっ……うん!」

「お母さん、よく頑張りましたね。元気な女の子ですよ。」
赤ちゃんは目がクリクリで肌が白くてちっちぇつくしみたいだった。

「よかった、生まれてきてくれて。」
ホントに赤ちゃんが出来るなんて思ってなかった。
1回流産仕掛けたから生まれてきても小さくて、病弱な子だと思っていたけど元気な女の子と言われてホットした。

「司…。あっ!ほら、抱っこしてあげなよ?パパですよ〜」
つくしが赤ちゃんを俺の方に向けて抱っこさせようとした。

「うおっちょっ、おいっっっ…」
赤ちゃんなんか触ったこともない俺は焦りつつも優しく抱っこした。

「かわいいしょ?」
そう聞いてくるつくしも十分可愛くて、赤ちゃんとそっくりだった。

「そーだな、お前の次にかわいいわ」
赤ちゃんだってかわいい。でも、つくしより可愛い子はこの世にはいない。

「そ、そーゆこと言わないでっっ!」
そういうことを言うとつくしは真っ赤になって照れるが、そういうときももちろん可愛かった。

「照れてんのかよ」
少しいじわるっぽくつくしに聞いてみた。

「……照れてないし、ねー」
少し間は空いてたが、否定したつくしは赤ちゃんに同意を求めた。
するとニコッとわらった。

「笑ったな、お前にそっくりだ」
ホントにつくしにそっくり過ぎてびっくりする。

「ホント?嬉しい〜」
それを聞いた牧野は喜んでいる。

「こいつ、名前何にする?」
前つくしと赤ちゃんについての話しをした時に、名前は見てから決めようとなった。
つくしはどんな名前を付けるのか、気になるな。

「うーん……………………さ、く、…さくっ!」
じっくり悩んだつくしは“さく”という名前をつけた。

「さく。いい名前だな、漢字は?」
つくしがつけた名前、やっぱりいい名前だった。
漢字はこだわってるのか?

「花が咲くの“咲く”に、空!」
案外普通だったけどつくしには考えがありそう。
それはまた今度聞こう。

「…うん、いい。」

「ふふっ!」
ニコッと笑ったつくしと自分の名前を聞いて嬉しそうな咲空に言った。


「つくしも咲空も愛してる」









fin

最初15話とか言ってたのに、もう29話です…笑笑
でも、無事に完結出来て良かったです!
ありがとうこまざいました。
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陽炎 28

あれから2週間が経って、道明寺のお母さんが帰ってくる日になった。
それまでは本当に大変だった。

まず、山野社長からの質問攻めに道明寺が「明日お前の親に挨拶行って婚姻届書いてもらうぞ」と言って、
次の日行ったらママは大泣き、パパは小躍り、進は口が空きっぱなしでとんでもない画だった。

もちろんサインをもらったあたしたちは次に道明寺邸に行き、たまたま帰ってきていたお姉さんからの質問攻めとお酒攻め、お洋服…やらなんやらでなぜか結婚式の予約までしていた。
再び道明寺邸に帰ったらタマさんにも会い感動の再開かと思いきや道明寺がF3に会いに行くと言い出しすぐにお別れ。

F3に会ったらまたまた質問攻め。
そしてお決まりのまだやってないのかと言われ道明寺が怒って引っ張られるように帰る。

その次の日は引越しの準備して、
その次の日にもう引越し。

で、なんだかんだで2週間が経っていま、道明寺のお母さんを待っている状態。

「ね、いつ帰ってくるの?」
もう30分くらい待ってる気がするけど、まだ帰ってこない。さすが道明寺財閥の社長。

「知らねぇー」
そしてこの日本支社長が息子。

「ふーん」
あたしはその息子にひとつ言いたいことがある。


あたし…


プロポーズされた?

された記憶がない。

でもなんか、結婚する流れになって婚姻届の空欄はあたしと道明寺お母さんだけ。

なんとか、はぐらかして書いてないけど道明寺は気づいていないのかな?

「司、牧野さん。」
そう言って道明寺のお母さんがやってきた。

「ご無沙汰してます。」
そう言いお礼して、席に座った。

「本題に入るが、俺はこいつと結婚するからサインをくれ。」
道明寺がそう言って、婚姻届を渡した。

「分かりました。」
道明寺のお母さんがペンと判子を出してスラスラと書き始めた。

「ありがとうございます」
あたしはお礼を言い、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

「あの、ひとつ聞いていいですか?なんで、あたしたちの結婚を許してくれたんですか?」

「……“なぜ”ですか…?」
なぜ…うん。そうだ、気になる

「はい。昔は私たちが付き合うことに反対していたのに今はなぜと思ったので…」
失礼を承知で直接聞いてみた。

「それは、記憶喪失のときのあなたを見てこの人ならと思いました。あなたは唯一、司を一人の人として見てくれている女性なのではないかと思いました。
昔のことは悪いことをしたと思っていますが、これからは仲良くしていきましょう?」
思いがけない言葉に思わず泣きそうになった。
こんなことを思っていたなんて…
認めていてくれていたなんて…

「はいっ!ありがとうございます。」

「お義母さんと言ってちょうだい?私もつくしさんと呼ばせてもらうわ。」
お義母さんとつくしさん…なんか嬉しい。
道明寺も微笑みながらこちらを見ている。

「はいっ!お義母さん!」
笑顔でそう答えてみた。





ーーー
「ヒビったわ…」
お義母さんが帰ったあと、道明寺がため息をつきながら言った。

「えっ?なんで?」

「なんでとか聞いたから、結婚するのが嫌なのかと思った」
道明寺って、いつも偉そうだけどそんなことを考えるよな…

「嫌じゃないけど…」
でも、やっぱりプロポーズはされたいっ!
結婚するなら…せめて…!

「あ?」

「道明寺…プ、プ、プロポーズってしてくれないの?」
恥ずかしくなりながら言ってみた。
変な空気…。
やっぱ、言わない方が良かったかな?

「………ぷ?」
うわぁ、ダメだっ!

「…いや、あっ!なんでもないっ!気にしないでっ!うんうんっ!」
うまく誤魔化しきれないけど、適当に誤魔化そうとしたら

「牧野…結婚して下さい。」
サラッと道明寺が言ってくれた。

「……はいっ」
それに応えて、涙目で返事をした。

「悪ぃ、もう気分が上がって大切なこと忘れてた」
なんで同棲とか変なことは思いつくのに、プロポーズは思いつかないんだろう?そう思いつつペンを取り出してた。

「じゃ、最後あたしが書くね?」



これであたしは道明寺つくしになる。








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陽炎 27

あたしたちの恋、終わった
そう思ったけど、やっぱり終わらせたくなくて…

「うっせぇな、付き合ってる。なんか文句あっか?」
うわぁ…言っちゃった…

「あなた、なんてことを…本当に自覚と責任を持っての行動と?」
社長としての自覚と責任か…前の時と同じだな…

「あ?自覚やら責任やら、俺にはそんなのねぇよ」
そりゃないわよ、こんな大バカに。
でも、普通あるって言うでしょっ…!

「…ない?あなた、今すぐ牧野さんとわかれなさいっ!失礼な態度で人の気持ちを踏みにじるなんて、男として…人として最低のことよ。」
なんか…話が噛み合ってない…ような気がする…ような…
道明寺のお母さん、何のこと言ってるんだろ…?

「ふざけんなっ!俺は絶対こいつと別れねぇ!今度こそ道明寺と縁切るってやるっ」
それに気が付かない大バカな道明寺。

「別れないですって?あなた、牧野さんを縛り付けるのはもうやめてあげて。牧野さんはあなたのせいでっ…」
道明寺のせいでって…あの、鈴さんたちのやつかな?
あれって、極わずかな人しか知らないはずだけどやっぱり道明寺のお母さんは知ってるのかな?

「ババアやっぱり知ってんのかよ。牧野が怪我したこと」
やっぱり!このことだっ!やっと辻褄があった…

「もちろん知ってるわ。あなたは思い出す努力をなぜしなかったの。どうして、今になってから牧野さんが自分のものになるって思ってるの。」
オモイダスゥ?
え?記憶喪失前のやつ?なんかあったっけ?

「ちょっ、ちょっとまってくださいっっ!」
なんの話しをしてるのかわからず、思わず口を挟んでしまった。

「なんですか。」
うわぁ…冷たい目で見られてる…

「あの、道明寺のお母さんは何の話しをしてるんですか?」
それはできるだけ気にしないようにして、本題に入ってみる

「何の話って、あなたの話ですけど?」
いやっ!それはわかりますけどっ…

「その事ではなく、あなたは…なぜ私たちが付き合うことに反対してるんですか?」
ドーンっとド直球で質問してみた。

「あなたが司のせいで英德の学生に責められ、記憶喪失にまで追い込められたということを聞きました。
あなたをそんな目には二度と会わせられません。
道明寺の人間として、司の母としてあなたには一度謝っておかねばと思っていました。
その節は大変申し訳ありませんでした。」
あ〜、そのことか…全然気にしてなかった。
てゆーか、1番最初にあたしにやり始めたのあなたの息子だしっ!

「いや、いいんですっ!それは…まぁ、しょうがないことですしっ!今あたしは道明寺と付き合えて幸せです。道明寺のお母さんが心配するような事はないです!そういう時は、道明寺が守ってくれますから。」
道明寺のお母さんには、本当の気持ちを伝えないと伝わらないような気がして…あたしの正直な気持ちを伝えてみた。

「…そうですか、分かりました。
司、あなたは牧野さんと結婚するの?」
また結婚…?
なんですぐそういう発想になるのかな…?

「当たり前だろっ」
そして親に怒鳴りつきながらも認める息子…

「私は許可を出します。でも、牧野さんの御両親にはご挨拶してきなさい。」
許可を出すぅ?
8年前は溝鼠やらなんやら言われたのに…

「ぅおっしゃっ!ありがとうございます、母さん」
道明寺が母さんって言ってる…
そんなに嬉しいんだね。
と思うあたしも、喜んでいる気持ちが大きくなっている。

「山野社長にも失礼のないように。私は今からパリに行ってきます。日本に帰るのは2週間後です。」
2週間後にあたし結婚?
嘘っ…!

「あのっ!ありがとうございます!」
でも、どんなに早くても道明寺と結婚できるのは嬉しいから、道明寺のお母さんお礼を言って手を振って見送った。








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陽炎 26

「道明寺、もう8時だから行こっか?」
喧嘩しつつも話すのを楽しんでいたあたしたちはあっとゆう間に8時になっていたことに気づいていなかった。

「あ、もうそんな時間か…」
道明寺とあたしの家を出て、道明寺の車に乗った。



ぐぅぅぅ
「…お腹すいてんのか?」
うわぁ…恥ずかしい…

「うん。でも、会食のご飯って美味しそうだよね〜」
そうっ!会食のためにあたしはお昼から何も食べずに我慢してたのだ。

「何言ってんだ。お前はまだ病人なんだから病院食だ。」
…えっ?
…病人?
…病院食っ!?

「えっ…!何それっ!聞いてないっ!お腹すいたぁっ!」
お腹をすいたあたしは道明寺に必死に懇願する。

「お前食えると思ってたのか?なわけねぇーだろ。」
なわけないっ!?

「ひどいっ!お願いっ!今日だけ!今日だけ!
会食のご飯食べさせて?ねっ?」
必死道明寺にお願いしても、今日の道明寺はなぜか厳しい。

「ダメだっ」

「っ…。ひどい…お願いっ!おーねーがーいっー!」
お願いを連呼してとにかく頼んでみると

「…ぅぉゎぁ!わかったよ!」
やっぱり道明寺は許してくれる。

「えっ?ほんとに?ありがとっ!」
そう話してるとあっという間に到着していて、


「司様。到着致しました。」
なんて言われてしまった。

「おう。行くぞっ」

「うん」




ーーー
「山野社長、ご無沙汰してます。
道明寺です。こちらが秘書の牧野です。」
会食してたんだ会場に向かったあたしたちは山野社長とお会いし、道明寺が挨拶をした。

「悪かったねぇ、最近いそがしかったんだろう?申し訳ない。」

「こちらこそ、突然延期なんてしてしまい申し訳ございません。近日中に社員の皆様にお詫びと延期した会議をやらせていただきます。」
そう淡々と話す道明寺を見てると、過ぎた時の長さを感じる…。

「そうかぁ、ではわしも行かせてもらうよ」

「はい。是非お越しください。」

「ところで、司くんの秘書の牧野くんと言ったか?」
さっきまで仕事の話をしていたのに、いきなりあたしの話になってびっくりしてしまう。

「あっ、改めまして。道明寺の秘書をやっております、牧野つくしと申します。」
一応、挨拶もしておく

「つくしちゃんね、覚えておくよ。
君はとてもいい子だ。わしはひと目でわかるよ」
いい子か…なんか嬉しいけどお子ちゃま感あるな

「いえ、そんなことないです。」



「牧野、なんか食べるか?」
さっきまであんなにダメって言ってたのに…
道明寺って優しいな…

「社長もいかがですか?一緒に食べましょう?」
あたしだけでは悪いと思い、山野社長に聞いてみる。

「わしは先程頂いたから二人で食べなさい。ここのオムレツは絶品でねぇ…無理にとは言わないが食べてみたらどうだい?」
オムレツかぁ…最近食べてないから食べたいなぁ…

「オムレツ食べたいですっ!ぜひ頂きますっ!」
せっかくだから、山野社長のおすすめのオムレツを頂くことにした。

「あとなんかいるか?ほら、お前の好きなデザートだってあるぞ?」
デ、デザートッ!
病院では栄養を考え、なかなか出ないデザートッ!

「うん!道明寺も食べたら?」
もちろん食べるから、道明寺にも、おすすめしてみた。

「俺はオムレツだけでいい。お前はいいのか?」
オムレツとデザートね、あたしだけ食べすぎだしまぁ、いっか。

「うん。オムレツと…ケーキ食べていい?」
ちゃんと確認をとってみると

「今日だけだからな?」
いいと言われたので、久しぶりのごちそうと思うと、気分がいい。

「うん。ありがとう!」



「司くん。この子は、君の彼女かね?」
…彼女か、彼女だ。
えっ?なんで山野社長わかったの?サイコパス?

「なんで…おわかりに?」
あたしと同じことを思っていた道明寺は山野社長に聞いていた。

「わしは長いこと生きてるからねぇ。付き合ってるんだろう?」
長いこと生きてたらなんで分かるのか…
よく分からないけどすごいな…

「はい。お付き合いさせて頂いています。」
あぁ、道明寺答えちゃったか…。
まぁ、バレてたのだからしょうがない。

「そうか…楓ちゃんがねぇ、司くんはもう人を好きになることはないと言っていたからまさかとは思ったけど、よかったねぇ」
楓ちゃん?!道明寺母のことっ?!
また付き合ったのがバレてるのかな…

「…?母がなんでそんなことを言っていたのですか?」

「わしはねぇ、楓ちゃんと高校の同級生でねぇ、卒業してからもよく会う友人だったんだよ。」
なぁんだ、同級生かぁ…
その事を知ったあたしはため息をついてホットした。

「そうですか。いつもお世話になっています。」

「昔聞いてた君は、暴れん坊の暴力坊ちゃんと聞いていたから今の君には心底驚いているよ。
つくしちゃんに君の性根が変えられたそうじゃないか。」
あぁ、あんなこともあったな…
懐かしいなぁ…

「はい。高校の話ですが。」

「いい青春をしたね。」

「はい、とても。」

「つくしちゃんと何があったのかは楓ちゃんも教えてくれなかったから聞く気はないけど、せっかく手に入れた君の宝物を粗末に扱おうとは許せないからね。」
あの魔女意外といい人だったのかな?
ふとそう思ってしまった。

「はい。必ず幸せにしてみせます。」
…これってプロポーズみたい…。
恥ずかしいこと、よく言えるなぁ。

「今度会う日は君たちが主役の日になってることを楽しみにしてるよ。」
えっ?それって本当に結婚…?

「はい。案外近日中になるかもしれませんよ?」
近日中っ!?
えっ、、あたし道明寺と結婚するのかな?

「そうかい…ははっ」
そう愉快に笑っていたら、
あまり聞きたくはない、いい思い出のない声が聞こえてきた。



「あらっ、寿(とし)ちゃんっ!」

「楓ちゃんじゃないかぁ。」
道明寺のお母さん。なんでここにいるの?
また、あたしたちの恋を妨害しに来たのかな…?

「こんな所で何を…って司…?あなた何をしてるの?」
あれっ?あたしたちがいたことを知らない?

「ババアかよ、会食してたんだよ。山野社長と」

「そう…あら秘書の方ですか。」
秘書の方…?
気づいてない?
でも、挨拶しなきゃなぁ………

「あっ…お久しぶりです…。道明寺の秘書をしております、牧野つくしです。」

「あなた…牧野さん…?大人になったわね?司の秘書をやっているのね?元気でした?」
えっ?“元気でした?”って言った?

「はい。」

「楓ちゃん聞いとくれよ。この2人つきあっているんだってさぁ。」
山野社長っ!
なんてことを言ってしまうのですかぁ…!

「えっ!本当ですかっ?どういうことですかっ!司答えなさいっ!」


あたしたちの恋、終わった。











いつも応援ありがとうございます。

楓さんの登場は吉と出るか凶と出るか?
“!”や“?”が多めの楓さんが新鮮で結構好きです。

設定的には親友の山野寿和(としかず)さんに会ってテンションが上がり、そこには寿ちゃんと会食中の息子と息子の元恋人の秘書がいて、滅多に見られないくらいテンパっている楓さんです♡
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陽炎 25

「少し散らかってるけどどうぞ」
病院からあたしの家に来て、道明寺を家に招いた。

「おぅ。」
相変わらず偉そうな態度。
でも、分かってるかな?

道明寺を家に入れるのはめちゃくちゃ緊張した。
道明寺は気づいてるのかな…?
家に入れたというのは、どういうことかということを。

「なんか飲む?」
あぁ、こういうこと聞くのって進むとかくらいだな…
やっぱ、道明寺って特別な人だな。

「あー、お茶とかあるか?」
それくらいありますとも。なめてるのかな?

「うん。安物の“わーいお茶”ならね。」
もちろん、安物ですけど

「なんじゃそりゃ?まぁ、くれ。」
なんじゃそりゃってこっちのセリフだよ。

「はーいっ」
サラッと受け流すけど。




ーーー

「どうぞ。」

「あぁ、ありがとな」

「意外と美味しいしょっ?」
道明寺の舌は意外と鈍いかもって聞いてみたけど

「微妙」
やっぱり、おぼっちゃまくんだった。

「もうっ!」

「あと1時間半、なんかするか?」
なんか…って…

「えっ?」

「なんかするか?」
これは…アレ…のこと?

「……え?」

「正直俺はやったことあるけどないんだ」
やったことがある?けどない?どっち??

「どういう事?」
意味がわからなくて聞いてみた。

「なんかな、やろうと思っても体が動かない。
記憶喪失の時に、俺もそれなりに男だからよそういうのに興味持ったことくらいあった。
でも、体が拒否る。やろうと思ったら吐くし、頭痛・震えの症状が出るんだ。」
心と体が一致しない…?でも、あたしのことが好きならツジツマが会うけど記憶喪失中に?

「…なんで?」

「医者に言っても原因不明。
でも、俺分かったんだ。心が覚えてなくても体は牧野以外欲しがってないんだなって。」
心が覚えてなくても体があたし以外?
そんなにあたしのことを思っててくれてるってことか…。

「…道明寺…。」

「お前はどうなんだ?」
あたしかぁ。
あたしねぇ…。

「あたしもないよ。記憶が無くなってから、誰にも恋してない。」
実は少し嘘。
記憶がなくなってから、道明寺と会ってちょっとしたらあたしはすぐ道明寺のことが気になって、恋をしたと思う。

「牧野…」

「覚悟があるからここに道明寺を呼んだの。でもね…」
あたしも道明寺とならってもおもったけどね…

「なんだよ…?」

「やっぱ最初はゆっくりしたいから、今度にしない?」
夜はずぅぅぅっっっと、道明寺と居たいんだ。
2人で朝を迎えることが出来るようになったら、やれたらいいって思った。

「分かった。ドレスでも買うか?」
ドレスっ?
こいつ…!
絶対っ!

からかってるっ!


「そういうの必要ない女って分かってるでしょっ!」

「ははっ。悪かったなぁ?記憶喪失で…。」

遂に、記憶喪失を…

「ネタにすんなっ!」
なんてやつだっ!でも、

「悪ぃ、悪ぃ。でも、お前は世界一の女だ。」
そーやって不意に照れること言うけどさ、あたしだって、道明寺が世界一の男だよ?
このことは絶対道明寺には言わないっていうか、言えないけど。


なんてことを話してたらもう8時なっちゃうあたし達って幸せなのかも。








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